日本国の高市早苗首相による存立危機事態発言は、中国からの強い反発を受けています。我が耳を疑うような薛剣駐大阪総領事の暴言のみならず、中国外交部までもがSNSにあって「日本が台湾海峡情勢に武力介入すれば中国は必ず正面から痛撃を加える」と投稿したというのですから、尋常ではありません。対日核攻撃といった過激な発言も聞え、中国の国内世論も荒れているようですが、中国が台湾の武力併合を具体的に計画しているならば、同反応は、同併合作戦、あるいは、第三次世界大戦誘導作戦の一環なのでしょう。
その一方で、アメリカには台湾関係法が存在していますし、つい先日の11月18日には、米議会上院にあって台湾との交流制限の緩和を目的として「台湾保障実施法案」が可決されました(台湾保障法の改正法案)。同法案は、トランプ大統領の署名を待つばかりの段階に至っているのですが、アメリカは、目下、台湾との関係強化に動いています。この流れからしますと、台湾有事に際してアメリカがこれを黙認するとは思えません。否、仮に、第三次世界大戦誘導計画が存在するならば、グローバリストのコントロールの下にあるアメリカの一部もまた、台湾有事をチャンスと見なしているはずなのです。
それでは、近い将来にあって台湾有事が発生したとすれば、アメリカは、どのような形で参戦するのでしょうか。何れの形態であれ、アメリカは、‘二つの中国’の立場から中国の違法行為を咎め、正当防衛の名の下で台湾の防衛に動くことでしょう(昨日の記事における‘国際警察行動’として・・・)。この際、ウクライナ戦争と同様に、米軍を直接には派遣せずに基本的には武器弾薬や戦費の貸与並びに供与に留まる可能性もないわけではありません。しかしながら、米台関係は、1979年の中華人民共和国との国交正常化に伴って‘関係法’に格下げされたとはいえ、第二次世界大戦における中華民国との関係を引き継ぐ準軍事同盟ですので、米軍による直接的な対応の可能性の方が遥かに高いと言えましょう。
しかも、ソ連邦時代にあってワルシャワ条約機構軍の一員として鍛えられ、冷戦崩壊後は内戦等で戦争慣れしてきたウクライナとは事情が異なり、台湾一国の軍事力では、強大な人民解放軍を前にしてはひとたまりもありません。むしろ、米軍の積極的な活動なくしては、中国の侵略を阻止することは不可能とも言えましょう。そしてそれは、米軍とロシアとの戦闘状態の発生によるNATOへの飛び火、すなわち、第三次世界大戦回避のためにあえて間接関与に留めたウクライナ戦争よりも、集団的自衛権が発動される可能性が格段に高まることを意味するのです。
兵器の提供に留まるならば、先ずもって核兵器を供与し、台湾を核の抑止力で護る選択肢もあるにも拘わらず、何故か、台湾を含めて少なくとも各国の政治家とも、台湾の核武装を言い出さないのです。この点も極めて不可解なのですが、中国が、米軍による反撃を予測していないわけはなく、台湾有事とは、米軍と人民解放軍との間の戦闘と捉えているはずなのです。米軍が関与するとなりますと、台湾には米軍基地はありませんので、米軍の出撃や補給に際して使用される可能性が最も高いのは、沖縄を中心とした在日米軍基地となりましょう。そして、このことは、中国が、在日米軍基地に対する攻撃を既に台湾侵攻計画に織り込んでいることを意味するのです(今年7月31日に公表されたアメリカのCSISの報告書の中には、中国による在日米軍基地の攻撃により日本側の死傷者が凡そ4600人に上るシナリオもある・・・)。
中国側は、米軍の関与と在日米軍基地への攻撃を一体化して捉えているのでしょうから、高市首相の発言に対する過激な反応は、予想外の発言に憤慨したのではなく、可能な限り日中関係を悪化させ、台湾有事を苛烈な戦争に持ち込むためのパフォーマンスに過ぎないのでしょう。自らの計画に照らせば、日米同盟が発動されるのは当然の事態であることを十分に承知していながら、発言の撤回という無理難題を押しつけているのです。
日本国政府がこうした中国の戦争誘導作戦を封じるには、中国に対して、台湾有事に際して在日米軍基地は決して攻撃しない、とする確約ができるのかどうか、尋ねてみるのも一つの選択肢かも知れません。武力攻撃事態であれ、存立危機事態であれ、米中開戦が想定されているのですから、中国は回答に窮するのではないでしょうか。ここは、中国による台湾侵攻計画、もしくは第三次世界大戦誘導計画を巧みに露呈させる方が、余程、戦争回避には効果的ではないかと思うのです。
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