万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

戦争防止の正道-戦争原因の平和的除去

力に対しては力を以ってしか対抗できない状況下にあっては、力の抑止力を備える、あるいは、力の均衡を保つことは、必ずしも否定されるべきことではなくなります。’力は正義’という言葉が支配する世界では、利己的他害性を抑制する普遍的な意味での倫理や道…

核の抑止力のモデルはイギリスにあり?

ウクライナ危機は、国連安保理の常任理事国であるロシアが紛争当事国となり、かつ、核兵器の使用をも辞さない構えを見せたことで、全人類が瀬戸際作戦の威嚇対象となったかのようです。NPT体制の欺瞞をこれほどまでに明るみにした出来事はなく、同条約への加…

反撃能力の問題-核ミサイル時代の危機

敵地攻撃能力という名称の反撃能力への変更は、図らずもミサイル時代、あるいは、核ミサイル時代における反撃能力という極めて重大な問題を提起しているように思えます。何故ならば、ミサイル並びに核兵器の登場は、人類の戦いの歴史における反撃能力の転機…

’敵地攻撃能力’は先制防衛能力に変更すべきでは?-タブーを設けることがタブー

先日、自民党の安全保障調査会では、とりわけ野党勢力からの反発を恐れてか、‘敵地攻撃能力’という名称を反撃能力と変更した上で、政府に対して同能力の保有を促す提言案を了承したそうです。しかしながら、敵地攻撃能力の本質的な目的を考えますと、反撃能…

核の抑止力の開放を

今般のウクライナ危機は、国連の機能不全を白日の下に晒したという意味において、戦後の国際体制の転換点ともなり得るのかもしれません。そして、’戦争は始めるよりも終わらせる方が難しい’とも称されますように、一旦、国家間の対立が軍事衝突へと向かいま…

ウクライナ危機にもPKOを活用する案

ウクライナ危機の発生以来、本ブログにおいては、国際法秩序の維持と第三次世界大戦の回避とのジレンマに関する問題について考えてきました。その過程にあって、国際機構における司法の独立性の確保、並びに、それに伴う中立・公平な執行組織の必要性につい…

ウクライナ危機が複雑である理由とは―全体像は立体的?

ウクライナ危機は、歴史的にも法的にも様々な要因が絡まっており、その解決は容易ではありません。たとえ両国政府の交渉によって停戦が合意されたとしても、抜本的な解決に至るには、まだまだ時間を要するように思えます。それでは、何故、ウクライナ危機は…

ウクライナ危機は安保理常任理事国が第一義的に対応すべきでは?

地域的な紛争を世界大戦へと拡大させないためには、紛争を当事国の間に閉じ込めておく工夫が必要です。その一方で、軍事力において劣位にある中小国が攻撃を受けた場合、国際社会がそれを放置しますと’見殺し’となり、国際法秩序も崩壊してしまします。それ…

国際法秩序と世界大戦化の回避のジレンマを解くには?

地域的紛争が世界大戦化するリスクは、加害国側の軍事力に比例して上昇します。しかも、被害国側に軍事同盟が存在する場合、集団的自衛権が発動され、またたくまに全世界に戦火が広がります。現状では、一旦、戦端が開かれる、あるいは、宣戦布告がなされま…

’二つの正義’のジレンマとは―国際法秩序と第三次世界大戦のジレンマ

ウクライナ危機は、ロシアとウクライナとの二国間関係にとどまらず、今日の国際社会が抱える致命的な問題点をも浮かび上がらせています。このため、地理的に遠方に位置する日本国にあっても関心が高く、国際社会の在り方について国民が深く考える機会ともな…

フランス大統領選挙に見える人類の共通課題

先日フランスで実施された大統領選挙では、過半数を超える票を獲得した候補者はおらず、現職のマクロン大統領と国民連合のルペン氏による決選投票に持ち込まれることとなりました。両者の主張は見事なまでに正反対なのですが、特に関心を集めているのは、ウ…

ウクライナ問題解決はジェノサイド条約に従うべきでは?

ウクライナの歴史を辿ってみますと、そこには頭を抱えたくなるような複雑な歴史を見出すことができます。絡まった糸を解きほぐし、当事者や関係者間において合意を形成するには今しばらく時間と努力を要するのでしょうが、本日の記事では、今般のウクライナ…

対ロシアと対中国に見えるダブルスタンダード

今般のウクライナ危機は、ロシアによる国際法上の違法行為を以って対ロ制裁の合法的な根拠とされております。日本国政府の政策も同見解に基づいており、再三にわたって、ロシアの違法性を強調しております。その一方で、過去を振り返りますと、日本国政府並…

国連なき安全保障体制の構築は可能?

ウクライナ危機において判明した国連の制度的欠陥は、もはや国連に期待を寄せることはできないという、深刻な現実を知らしめています。国連に絶望したウクライナのゼレンスキー大統領は、安保理理事会において「国連を解体する覚悟はあるのか」と訴えたと伝…

第三次世界大戦の阻止もウクライナ危機における人類的使命

ウクライナ危機を前にして、日本国政府を含む米欧諸国の政府にあっては、ロシア批判において足並みを揃えています。主要メディアの論調も、’残虐国家ロシア’、あるいは、’ロシア憎し’の凡そ一色であり、国民に対して同国に対する敵愾心を煽っているようにも…

紛争の世界大戦化を防ぐには

今般のウクライナ危機は、ロシアの脅威のみならず中国による台湾や尖閣諸島等への進攻という懸念をもたらしています。ウクライナ危機の場合、先日のロシア軍のキーウ撤退により、ロシアがウクライナという国家そのものを軍事占領する可能性は低くなり、第三…

国連は’第三次世界大戦’を想定していた?-戦争と平和のジレンマ

今般のウクライナ危機ほど、国連の無力さを晒した出来事はなかったかもしれません。安保理において事実上の’拒否権’を有するロシアという常任理事国が当事国となったのですから。しかしながら、よく考えてもみますと、国際の平和の維持に責任を負う国連とい…

対ロ制裁は急ぐべきなのか?

ロシア軍によるウクライナ侵攻を受け、日本国政府は、米欧諸国と協調し、対ロシア制裁に舵を切ることとなりました。本日の報道によりますと、追加措置として、対ロ送金ルートを断つための仮想通貨(暗号資産)規制及び最恵国待遇の取り消しを可能とする二つ…

国連改革も権力分立の観点を要するのでは?-司法の独立性の強化

権力分立とは、近代国家の統治機構上の大原則とされています。モンテスキューが『法の精神』において述べたように、とりわけ司法の独立性は、人々の基本的な自由と権利を護る砦の役割を果たしているからです。この文脈における独立性とは中立・公平性を意味…

ブチャ虐殺事件にどのように対応すべきなのか?-独立した捜査の必要性

ロシア軍の撤退に伴い、キーウ近郊のブチャ近郊にて殺害された多数の民間人の画像が多くの人々に衝撃を与えています。子供を含む民間人が惨い姿で虐殺されたとされており、これが事実であれば、戦争犯罪であることは疑いようもありません。それでは、この虐…

支配欲という元凶

この世は、トラブルに満ちています。国家間関係から個々の間の私的関係に至るまで、あらゆる空間で絶えることなき争いや対立が続いているのが人間社会の常のようです。今この瞬間も、ウクライナの地では戦闘が続き、アジアの軍事大国中国は、台湾を自国に併…