万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

再生エネ法案―買い取り価格の決定権は国民の抵抗の砦

再生エネ法修正案、3党が合意 26日にも成立へ(朝日新聞) - goo ニュース
 菅首相が、退陣条件としたことで、いわくつきの法案となった再生エネ法は、26日にも成立するとの見通しがあるようです。この法案、社会主義政策としか言いようがないのですが、価格決定権は、国民世論を反映すべきです(利益は一部に、負担は国民全員にですから、社会主義よりもさらに悪質かも・・・)。

 政府案では、毎年、産業経済大臣が決めることとなっていましたが、野党からの修正提案を受け入れて、国会の同意人事による第三者機関に委ねることになったそうです。しかしながら、この制度では、買い取り価格は、市場の需要と供給のバランスで決まるわけではありませんので、全く、第三者機関が、恣意的に決めてよいことになります。負担ばかりが転嫁され、極一部の事業者だけに利益が集中するこの制度には、反対する声も強く、こうした声を制度に反映させようとすれば、買い取り価格を高く設定すればよく、事業者の事業継続を不可能にしたり、収益をほとんどゼロにすることができます。一方、第三者機関が、もし、事業者の利益を守る方向に動けば、この反対の事態も起こりうるのです。つまり、第三者機関の”さじ加減”で、どのようにもなるのです。市場の秩序を公平・中立な立場から維持する場合には、第三者機関の設置は有効な手法ですが、統制型の制度では、責任が曖昧になりますし、負担者である国民のコントロールから切り離される可能性もあります。そもそも、価格決定のルールもないのですから、法治ではなく、人治になることは、当然、予測されます。

 実のところ、この法案の説明では、第三者機関が”何者”であるのか不明であり、国民の利益を代表するとも思えませんので、むしろ、国民の代表によって構成される国会に価格決定の権限を付与した方が、まだましです。悪法に対するせめてもの国民の抵抗が、価格決定を通した”濡れ手に粟”の事業者利益の剥奪であるとしますと、第三者機関の設置は、国民の利益とはならないのではないでしょうか。

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